
三枝孝伊 評判・評価・口コミ
わたしは父親といっしょに水上で何度も美しい夜を過ごした。一方を砂と海に,他方を緑の密林にふちどられた入江は穏やかで,水の音と,時おり聞こえる仲間の漁師の呼び声以外には何も聞こえない。満月があらゆる物を銀に変えるかと思われる夜もある。銀色の網に輝く銀色の水滴,銀色のさかな,そして,満月は,入江の黒い水面のこちらから向こうへ,わたしたちの舟のために銀の道を作ってくれる。
さまざまな漁法
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さかなを取るにはいろいろな方法があった。父とわたしは,たいてい,やみが降りると出発した。村から数キロのところに網をしかけ,少しはなれた所で十分かそこら待機する。それから舟のかいで水を打ちはじめる。すると驚いて穴から出て来たさかなが網にかかる。これを一,二回すれば,ふつう,その日に家族が食べるだけの食料は十分に得られる。
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